マンジャロの効果と特徴は?副作用と痛み、安全な使用法を徹底解説!
「週1回の注射で、無理なく・しっかり痩せられる」と話題のGLP-1製剤・マンジャロ(チルゼパチド)。 海外の臨床試験では、平均で体重の20%以上の減少が報告されており、従来の治療薬とは一線を画す“次世代ダイエット薬”として注目されています。 しかし、痩せ効果が高い分、気になるのが副作用や注射の痛み、安全性。 本記事では、医療の専門的な観点から、マンジャロの特徴やリスクを正しく理解し、安心して使いこなすためのポイントを分かりやすく解説します。
マンジャロとは?その特徴と効果
マンジャロ(Mounjaro/一般名:チルゼパチド)は、アメリカのイーライリリー社が開発した、2型糖尿病治療薬として使われている注射薬です。日本では2023年に承認され、現在では肥満治療(GLP-1受容体作動薬と同様)としても注目されています。他のダイエット薬や糖尿病治療薬と比較して、マンジャロは独自の効果を持っており、より高い体重減少効果が期待されています。実際に海外の大型治験ではマンジャロ(チルゼパチド)を投与された患者の体重が20%以上減少したという報告があります。
出典:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2206038
マンジャロの特徴
2種類のホルモンに働きかける
マンジャロは、以下の2つの受容体に作用するデュアルアゴニスト(2重作動薬)です。
- GLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)受容体
- GIP(胃抑制ポリペプチド)受容体
従来のGLP-1作動薬(サクセンダ・オゼンピック、ビクトーザなど)よりも広い作用を持ち、血糖コントロール(GLP-1)と脂肪燃焼 (GIP)の両方に高い効果が期待されます。
マンジャロの効果
GLP-1とGIP
GLP-1とGIPは、体内で重要な役割を果たすホルモンです。GLP-1は腸から分泌されるホルモンで、インスリンの分泌を促進し、血糖値を効果的に下げる働きがあります。一方、GIPも内臓から分泌され、同様にインスリン分泌を促進することで血糖管理に寄与します。これらのホルモンが受容体作動薬として作用することで、食欲を抑制し、脂肪の燃焼を促進する具体的なメカニズムが発動します。受容体作動薬としてのGLP-1とGIPは、脳に直接作用することで満腹感を強化し、食事摂取量を自然に減少させます。
また、これらのホルモンが脂肪組織に働きかけることで、脂肪の分解が促進され、体重減少効果が期待されます。
マンジャロは、GLP-1とGIPの二つの受容体に同時に作用することで、従来のGLP-1製剤と比較してより高い体重減少効果を実現しています。他のダイエット注射薬に比べて、マンジャロは食欲抑制効果が強化されており、血糖値の管理もより効果的に行える点が大きな利点です。これにより、ユーザーはより安全かつ効果的に体重管理を行うことが可能となります。
マンジャロが人気を集める5つのポイント
SNSや口コミでもマンジャロの名前を見たことがある人も多いのではないでしょうか?
マンジャロが市場や医療現場で大きな注目を集めている理由は、大きく分けて5つあります。
①圧倒的な体重減少効果
海外の臨床試験では、最大20%近い体重減少も報告されており、従来の治療法に比べて短期間での成果が見られることが明らかになっています。国内でも糖尿病治療薬として承認され、注目を集めています。
また従来のGLP-1作動薬(オゼンピックなど)よりも、ダイエット効果が高いとされており、「注射するだけで食欲が落ち、無理せず痩せる」という実感が強く、口コミで拡散されたという経緯があります。
そのため保険診療だけでなく、美容目的でも「今までのGLP-1ダイエットを超える存在」として話題になりました。
②デュアルアゴニストの革新性(GIP+GLP-1)
GLP-1だけでなくGIPも刺激する「デュアルホルモン作用」が2つのホルモンの相乗効果を発揮し、血糖も体重も効率よく改善します。
この新しい仕組みに対する期待と信頼感も、医師・患者の両方から高まっています。
③週1回の自己注射であること
飲むGLP-1として人気なGLP-1リベルサスは毎日飲むことが前提です。また、従来のGLP-1サクセンダも1日1回の注射が必要です。しかし、マンジャロは週1回の注射で忘れることも少なく、継続しやすいというのが特徴です。忙しい人、注射が苦手な人にも向いています。また、専用のペン型注射器で、自宅で簡単に自己注射することで完了。慣れてくると、わずか5分程度で終了します。
④国内生産であること
従来のGLP-1注射であるサクセンダ・オゼンピック・ビクトーザは主にデンマークやアメリカ製。それに対し、マンジャロは日本で製造されており、
- 製品輸送リスクが少ない
- 品質管理が日本基準
- 供給の安定性
というメリットがあり、国内の医療従事者からも信頼の厚い薬剤になっています。
⑤低血糖になりにくい
GLP-1とGIPはともにインクレチンと呼ばれる消化管ホルモンで、食物が小腸を通過する際にL細胞からGLP-1が分泌されK細胞からGIPが分泌されます。
そのため、血糖値の上昇に応じてインスリンが分泌されるという機序があるため低血糖を生じにくい薬剤になっています。空腹時の血糖値が低く出ることは想定されますが、低血糖症状が出るまで血糖値が下がることは非常に稀です。
これにより、マンジャロは糖尿病患者のみならず、ダイエットを目指す多くの人々から支持を受けています。研究結果では、マンジャロを使用することで、従来の治療法に比べて短期間での成果が見られることが明らかになっています。加えて、現代社会における健康志向の高まりや、効果的かつ安全なダイエット方法への需要の増加も、マンジャロの注目を後押ししています。特に、若い女性を中心に、信頼できる情報を求める声が高まっており、マンジャロはその期待に応える形で市場に位置付けられています。これらの要因が組み合わさることで、マンジャロはダイエットと糖尿病治療の両面で有力な選択肢として認識されています。
数字で見ることのできるマンジャロの効果
マンジャロは、他のGLP-1受容体作動薬と比較してもいくつかの独自の特徴や利点を持っています。
これにより、体重減少や血糖コントロールの面で特に優れた効果を発揮し、多くの患者にとって魅力的な選択肢となっています。
その選ばれる理由を実際の試験の結果を元に解説していきます。
マンジャロ投与と非投与の差
HbA1cが約1.9%改善
HbA1c(ヘモグロビンA1c)は、赤血球中のヘモグロビンに糖分が結合した割合を測定する検査値で、過去1~2ヶ月間の平均的な血糖値を反映します。糖尿病の診断や治療において重要な指標として用いられ、高血糖が慢性的に続いているかどうかを評価します。この数値が6.5%以上になると糖尿病と診断されることが多いです。
その中でBMI 32、HbA1c約8%の2型糖尿病患者に40週マンジャロを投与し、マンジャロ(チルゼパチド)とプラセボを比較した試験。つまりマンジャロを投与した患者と、投与しなかった患者を同じ環境下で比較した試験になります。
こちらでは、マンジャロ 5mgで-1.87%のHbA1c改善作用を認められました。血糖降下薬1剤で HbA1c 1%改善が通常になるため、この約1.9%のHbA1c改善作用は驚くべき結果となりました。
また同様の試験において、マンジャロ15mgを40週投与した結果、-9.7kgの減量に成功しています。
※健康で糖尿病の疑いがない患者様には長期投与はおすすめできません。
HbA1の減り方の出典:https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/34186022/
マンジャロ投与とオゼンピック(セマグルチド)の差
マンジャロ(チルゼパチド)とオゼンピック(セマグルチド)をBMI 34、HbA1c約8.3%の2型糖尿病患者に40週マンジャロを投与し、マンジャロ(チルゼパチド)とセマグルチド1mg(皮下注)を比較した結果、マンジャロ5mgとオゼンピック1mgの差ではHbA1c(ヘモグロビンA1c)が最大0.44%の差、体重は5.5kgの差が出ました。
この結果により、マンジャロ(チルゼパチド)は投与量によって大きく減量効果が違ってくるということもわかりました。
出典:https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMoa2107519
既存のGLP-1受容体作動薬と、新薬であるマンジャロでの減量を比較するとこのような図になり、mgに差はあれど、減量の差は歴然です。
ではそんな減量効果のあるマンジャロ、その痛みや副作用はどの程度のものでしょうか。以下で詳しく解説していきます。
マンジャロの副作用
結論から言うと、マンジャロに副作用はあります。しかし、副作用が発生する頻度は、臨床試験や実際の使用者から得られたデータに基づき、軽度の副作用は約5%程度の患者で報告されており、重大な副作用はそれ以下の頻度で発生しています。ただし、具体的な数値は個々の研究や使用状況によって異なる場合があります。
強力な効果と引き換えに副作用も一定数見られる薬剤ですので安全に使用するために、副作用についてしっかり理解しておくことが大切です。
頻度が高い(10%以上に見られることがある)副作用
吐き気
最も多い副作用。特に最初の数回で出やすく、回数を重ねるごとに落ち着いていきます。
もしも吐き気が強い場合は、
- 1回の食事量を減らす。
- 揚げ物や脂質を避ける。
- 満腹感を感じたらそこで食事を終わらせる。
などで対策が可能です。それでもまだ、胃腸に障害が出た場合は、薬の服用を中止し医師にご相談ください。
便秘
食事量の減少・胃腸運動の抑制によって起こります。
その際は1日1.5L〜2Lの水分摂取を目安にコーヒーやお茶は避け、常温の水を飲むようにしてください。また食欲がない場合も、一日の食事を数回にわけ摂ることで胃腸が刺激され、便秘の解消に有効的です。
食欲不振
GLP-1の効果によって、満腹中枢が刺激され、食欲が少なくなります。
しかしこれは効果の裏返しであり、無理に食べてしまうと吐き気・嘔吐につながるため無理な食事はしないほうが良いとされています。
対策としては、たんぱく質を中心に少量ずつ摂る(プロテイン併用も◯)ことがおすすめです。
下痢
一部の人は便秘ではなく、逆に腸の刺激でゆるくなることもあります。その際は刺激物・乳製品を控える、消化のよい食事に切り替えましょう。
ごく稀ではありますが、重篤な副作用も論文で報告されています。そのため当てはまる症状が表れたら、すぐに医師に相談してください。
膵炎
強い腹痛・背部痛があれば、直ちに服薬を中止しかかりつけ医に受診してください。
低血糖
手の震え・動悸・空腹感・集中力低下などの症状があらわれます。
低血糖症状が現れた場合には速やかに糖分を摂取し、必要に応じて医師に相談することが重要です。
- ブドウ糖タブレット(5g〜10g)
- 砂糖入りジュース(コーラ・スポーツドリンクなど)100〜150ml
- 角砂糖2〜3個、キャンディーなどでもOK
→ 口に入れて10〜15分で効果が出ます。
腎機能悪化
特に高齢者に見られるもので、脱水状態を放置すると腎機能に障害が出てしまいます。こまめな水分摂取を心がけてください。
副作用の挿絵
このように副作用もありますが、重篤なものは非常に稀で、よくある副作用も一時的なものが多く、対処できる物が多いです。まずは1本から初めてみて、自分の身体とマンジャロの相性をみてみるのも一つの手かもしれません。
マンジャロの痛み
マンジャロを投与するためには、皮下注射を行わないといけません。皮下注射とは、薬剤を皮膚の下の脂肪組織に注入する方法です。注射が必要という事は、使用する際は痛いのでしょうか?
皮下注射は痛い?
皮下注射とは、肌のすぐ下にある柔らかい脂肪層に薬をゆっくりと送り込む方法です。この方法では、薬が体内でじわじわと広がりゆっくりと効いてくるのが特長で、効果が長く続くというメリットがあります。
マンジャロの注射時に感じる痛みは、使用されている29Gの細い針によって大幅に軽減されています。この非常に細い針は、一般的な採血針と比較しても極めて細く、皮膚への負担を最小限に抑える設計がされています。そのため痛いと思わない方や、少し痛いと感じる方もいらっしゃいます。
さらに、注射箇所を冷やしてから注射を行うとより痛みが軽減されます。また、注射後に注射部位を軽くマッサージすることで、痛みや不快感を和らげる効果も期待できます。これらのテクニックを活用することで、注射時の不安や痛みをさらに軽減し、快適にマンジャロを使用することができます。
使用方法
マンジャロを正しく安全に使用することは、治療効果を最大限に引き出し、副作用のリスクを最小限に抑えるために非常に重要です。
Step1:準備
注射は週1回。同じ曜日・同じ時間帯に打つのが理想です。
必要なもの:
- マンジャロのペン型注射器
- アルコール綿(消毒用)
- 使用済み針の廃棄用ケース(医療廃棄)
Step2:注射する部位を決める
注射できる場所は以下の3つ(脂肪がある部分が◎)
部位
お腹(へその周り)
▶一番人気で注射しやすい
太もも(前外側)
▶自分で打ちやすい
上腕の外側
▶誰かに打ってもらうときに
毎回同じ場所だと皮膚が硬くなることがあるので、左右・上下でローテーションしましょう。
Step3:手指と皮膚の消毒
- アルコール綿で手と注射部位をよく消毒
- 乾いてから注射をするのが◎
Step4:注射する
- ペン型注射器のキャップを外す
- 皮膚を軽くつまんで垂直に針を刺す
- 指示に従ってゆっくり薬剤を注入(数秒)
- 注入後はそのまま数秒キープ → ゆっくり抜く
参考:https://jp.lilly.com/diabetes_consumer/usage-mounjaro
Step5:針を捨てて終了
使用済み針は専用の廃棄ケースへ
※医療廃棄物は一般の家庭ごみでは廃棄できません。
出血があれば軽くガーゼを押さえて終了
注射のタイミングは食前食ご関係なく注射ができます。
また、保管は冷蔵保存が必須ですが、使用は30分ほど室温に戻すと痛みが軽減されます。
マンジャロなどの注射針、どうやって捨てる?
基本ルール:注射針は「一般ゴミに出してはいけません」
使用済みの注射針には血液や薬剤が付着しているため、
「感染性医療廃棄物」として特別な処理が必要です。
そのため、家庭ゴミや市の回収には絶対に出さないでください。
安心な捨て方3パターン
① クリニックでの回収サービスを利用(おすすめ)
多くの医療機関(とくに美容クリニックや糖尿病外来)では、
「使用済み針の回収ボックス」を設置しています。
もし当院でマンジャロを購入された場合は、
▶ 使用済みの注射針は、次回来院時にスタッフまでお渡しください。
② 「シャープスボックス」での自宅保管 → 医療機関へ返却
注射針を安全に保管できる針専用のケース(シャープスボックス)を使用します。
注射後はフタ付き容器に入れて保管し、定期的に医療機関に返却します。
③ 一部地域では「回収協力薬局」あり(自治体による)
一部自治体では、「針回収協力薬局」で処分を引き受けることもあります。
ただし、自由診療での自己注射針は対象外のケースが多いため、基本は医療機関への返却がベストです。
保管方法と使用期限
マンジャロを正しく保管することは、その効果を最大限に引き出し、安全に使用するために非常に重要です。適切な保管方法を理解し、実践することで、薬の品質を維持し、効果を長持ちさせることができます。
1. マンジャロの推奨される保管温度(2〜8℃)
マンジャロは冷蔵庫内での保管が推奨されています。冷蔵庫の中でも温度が一定に保たれる場所を選び、薬剤が冷えすぎたり、凍結したりしないように注意しましょう。
2. 冷蔵庫から取り出した後の室温での保管期間
マンジャロは冷蔵庫から取り出した後、室温(25℃以下)で保管することができますが、使用期限は21日間と定められています。
この期間を超えた使用は避け、期限内に使用するよう心掛けましょう。また、直射日光や高温多湿を避ける環境での保管が推奨されます。
3. もし高温や直射日光で保管してしまうと
マンジャロを高温下や直射日光の当たる場所で保管すると、薬剤の品質が劣化し、効果が減少する恐れがあります。
保管中に色の変化や凝固などの異常が見られた場合は、使用を中止し、医師に相談してください。異常が発生した薬剤は適切に廃棄し、新しいものを使用することが安全です。これらの保管方法および使用期限の管理を徹底することで、マンジャロの品質を維持し、安全に使用できるようになります。正しい保管を心掛け、健康的な体重管理に役立ててください。
正しく知って、あなたに合った選択を
マンジャロは、ただ痩せるだけの薬ではなく、食習慣や生活スタイルを見直すきっかけになる医療のサポートツールです。
使い方や効果、副作用などをしっかり理解することで、無理のない健康的な体づくりが目指せます。
気になる方は、まずは医師としっかり相談して、あなたのライフプランや体調に合ったステップから始めてみましょう。
無理なく、でも確実に。
「自分を整える」選択肢のひとつとして、マンジャロを前向きに活用してみてくださいね。
お問い合わせはLINEから
GLP-1マンジャロのメニューはこちら
当院の医療ダイエットはこちら
錦糸町院 院長