自由診療とは?保険診療との違いを解説
病院やクリニックを調べていると、「保険診療」「自由診療」という言葉を目にすることがありますが、違いがよく分からないという方も多いのではないでしょうか。 「自由診療は高そう…」 「保険診療と何が違うの?」 「美容医療ではなぜ保険が使えないの?」 こうした疑問を持つ方に向けて、自由診療の仕組みや保険診療との違いを、できるだけ分かりやすく解説します。 治療を選ぶ際に後悔しないためにも、ぜひ参考にしてみてください。
自由診療とは
自由診療とは、健康保険が適用されない医療サービスのことを指します。
治療内容や使用する薬剤・機器などを、医療機関が自由に設定できるのが特徴です。
一般的な風邪やケガなどの治療は「保険診療」にあたりますが、
- 見た目をきれいにしたい
- 肌質を改善したい
- 予防やエイジングケアをしたい
といった美容や予防を目的とした治療は、病気の治療とは異なるため、自由診療として扱われます。
なぜ「自由診療」と呼ばれるの?
保険診療では、治療方法・薬の種類・料金が国によって細かく決められています。
一方、自由診療ではそうした制限がないため、
- 新しい治療法を取り入れられる
- 高性能な医療機器を使用できる
- 患者さんの希望に合わせた治療プランを組める
といった柔軟な医療提供が可能になります。
このように、治療内容や料金を「自由に」設定できることから、自由診療と呼ばれています。
自由診療に該当する身近な例
自由診療には、眼科や歯科、審美目的の美容医療、がん治療に至るまで、幅広い分野の診療行為があります。
歯科の自由診療
基本は保険診療で受診可能な歯科ですが、自由診療で行われる処置もいくつかあります。
セラミック治療
銀歯の代替として、セラミックなど見た目に配慮した素材を用いる治療です。
つめ物か被せ物かによって費用は異なりますが、目安としては数万円から20万円以上となるケースが一般的です。
インプラント
歯を失った部分に人工の歯根(インプラント体)を埋入し、その上に人工歯を装着することで、見た目や噛み心地の回復を目指す治療です。
費用は検査や手術にかかる費用を含め、1本あたりおおよそ30万円〜が相場とされています。
ホワイトニング
ホワイトニングは、歯本来の白さを引き出すことを目的とした処置です。
施術の種類や範囲により価格に幅があり、1回の費用は2万〜8万円前後が一般的です。
なお、歯科分野では自由診療であっても、条件を満たす場合には医療費控除の対象となるケースがあります。*¹
出典(*¹)国税庁 No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例
美容医療
見た目の改善や美容を目的とした医療は、保険診療ではなく自由診療として提供されます。
肌のコンディションや年齢に応じた多様な施術が行われています。
医療レーザー脱毛
医療機関で行う脱毛治療で、レーザーを照射して毛根にアプローチし、毛の再生を抑える方法です。
費用は部位や回数によって異なりますが、1部位あたり数千円~数万円程度が一般的な相場です。
レーシック/ICL(視力矯正手術)
視力を矯正する手術です。手術の内容によって変わりますが、20万円前後~30万円以上かかります。
AGA(薄毛治療)
薄毛の改善を目的として行われる治療です。一定期間継続して行うケースが多く、月額制で通院する形が一般的です。
費用の目安は、月に数千円〜数万円程度とされています。
がん治療
免疫療法
体が本来持つ免疫の働きを利用して行う治療方法です。
治療の種類や内容によって費用に幅があり、おおよそ100万円〜400万円前後となるケースがあります。
抗がん剤治療
国内で承認されていない抗がん剤を用いる治療は、自由診療として提供されます。
例として、かつて未承認であった「イピリムマブ」を使用した場合、抗がん剤1回分の費用だけで約350万円かかっていた事例があります。
陽子線治療
がん治療として陽子線治療を自由診療で受ける場合、治療費はおおむね300万円程度が目安とされています。
これも実は自由診療?意外な例
その他にも「自由診療」は、上記だけを指す言葉ではなくふつうの医療の中にも“保険が使えない費用”が含まれることがあります。
そして、そのことを意外と知らない人が多いでしょう。
たとえば病院に行った時でも
- 診断書の作成費用
- 日常的な肩こり・腰痛の治療
- 正常分娩(正常なお産)
- 先進医療技術の「技術料」部分(診察や検査自体は保険診療と併用できる場合あり)
- 健康診断・人間ドック・予防接種(インフルエンザなど一部)
- 入院中の差額ベッド代(個室代)、食費、病衣代
こういったものは、治療に関係していても保険が使えず、自費=自由診療扱いとなります。
自由診療が必要な理由
日本では「国民皆保険制度」が導入されており、原則として殆どの国民が健康保険に加入しています。
このように全国民を対象とした医療保険制度を整えている国は、世界的に見てもそう多くはありません。
それにもかかわらず、なぜ保険が使えない「自由診療」という医療の形が存在し、あえてそれを選ぶ人がいるのでしょうか?
医療の分野では、病気の治療法や薬の研究・開発が世界中で日々進められています。しかし、どの治療法や薬剤を正式に医療として認めるかは国ごとに基準が異なってしまいます。
日本でも安全性や有効性を慎重に確認するため、海外で開発された治療法や薬については、承認までに長い時間をかけて検証や臨床試験を行います。
その結果、海外ではすでに使用されている方法であっても、日本ではまだ認可されていないものが数多く存在しています。
一方で、海外の研究機関などにより安全性が確認されている治療法を「いち早く受けたい」と考える患者さんも少なくありません。
そうしたニーズに応える形で、日本の公的保険の枠外となる治療を提供する方法として選ばれるのが、自由診療です。
つまり自由診療は、単に保険が使えない医療というだけでなく、より幅広い選択肢の中から治療を選びたい人のための医療の形でもあるのです。
保険診療とは
先程も記載されていた通り、日本国民は全員何かしらの保険に加入しています。
基本的に加入しているのが国民健康保険であり、企業などに雇用されている給与所得者の方は、社会健康保険に加入しているケースが多くなります。
健康保険制度の適用内の診療を受ける場合、自己負担額は3割となるのが一般的です。
残り7割に関しては、健康保険から捻出されるため、診療を受ける方はそれだけ支払う医療費が少なくなります。
その他にも75歳以上の人は1割負担であったり、生活保護受給者は、国民健康保険の被保険者から除外されているため、医療費の全額を医療扶助で負担されたりと、患者の環境により負担額は変わってきます。
自由診療と保険診療の違い
自由診療と保険診療は、「保険が使えるかどうか」だけでなく、費用・治療の選択肢・使用できる医療技術などにも違いがあります。ここでは主な3つのポイントに分けて解説します。
費用の違い
保険診療では、治療費のうち自己負担は原則3割となり、残りの7割は健康保険から支払われます。
そのため、患者さんの経済的負担を抑えながら治療を受けることができます。
一方、自由診療は治療費の全額が自己負担(10割負担)となります。
使用する薬剤や機器、治療内容によって費用は医療機関ごとに異なり、比較的高額になる場合もあります。
治療内容・選択肢の違い
保険診療では、国が定めたルールに沿って、
- 使用できる治療法
- 処方できる薬
- 治療の進め方
が細かく決められています。
そのため、安全性が高く標準化された治療を受けられる一方で、患者さんの希望に合わせて治療内容を細かくカスタマイズすることは難しい場合があります。
使用できる薬剤・機器の違い
保険診療で使用できる薬剤や医療機器は、国が承認したものに限られます。
安全性と有効性が十分に確認されたもののみが使用されるため、安心して治療を受けられます。
一方、自由診療では、
- 海外で使用実績のある新しい薬剤
- 高性能なレーザー機器
- 最新の美容医療機器
など、日本ではまだ保険適用になっていない医療技術も使用することが可能です。
そのため、症状によっては保険診療よりも高い効果が期待できる治療を選択できる場合があります。
自由診療と保険診療の併用(混合治療)について
自由診療と保険診療を同時に受けるいわゆる「混合診療」は、原則として認められていません。
そのため、混合診療に該当する場合、本来は保険適用で自己負担が3割となる治療であっても、すべて自由診療として扱われ、治療費を全額自己負担する必要があります。
一方で、厚生労働省が特例として認可したケースに限り、併用が可能となる場合があります。
たとえば「先進医療」に該当する治療では、高度な医療技術を用いる自由診療部分と、通常の保険診療部分を分けて算定できるため、保険診療に該当する部分については自己負担が軽減されます。
さらに、患者申出療養制度を利用すれば、所定の手続きを行うことで、患者の希望に基づいた先進的な治療を保険診療と組み合わせて受けることが可能です。*²
出典(*²)「患者申出療養」制度とは?
よくある質問
Q:自由診療は安全性に問題はありませんか?
A:自由診療であっても、医師が診察を行い医療機関として提供される点は保険診療と同じです。
治療内容や費用は医療機関ごとに異なるため、事前に十分な説明を受け、納得したうえで治療を選ぶことが大切です。
Q:自由診療でも医療費控除は使えますか?
A:自
Q:自由診療を受ける前に注意すべきポイントは?
A:自由診療であっても、治療を目的とした医療行為であれば、医療費控除の対象となる場合があります。(詳しくはこちらをご覧ください:医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例 )
一方で、美容目的のみの施術などは対象外となることがあるため、事前に確認しておくと安心です。
Q:保険診療から自由診療に途中で切り替えることはできますか?
A:治療内容によっては、保険診療を終了したうえで自由診療へ切り替えることは可能です。
ただし、同一の治療過程で両者を併用すると混合診療に該当する場合があるため、事前に医師へ確認することが大切です。
Q:自由診療でも診断書や紹介状は出してもらえますか?
A:自由診療であっても、医師の判断により診断書や紹介状を作成してもらえる場合があります。
必要な場合は、事前に医療機関へ相談しましょう。
まとめ|まずは医師に相談を
保険診療と自由診療には、それぞれ特徴や役割があり、どちらが適しているかは治療の目的や症状によって異なります。
費用や治療内容だけで判断するのではなく、自分にとって必要な治療かどうかを考えることが大切です。
治療方法に迷った場合や不安がある場合は、自己判断せず、まずは医師に相談してみましょう。
医師の説明を受けたうえで納得して治療を選ぶことが、安心して医療を受けるための第一歩です。
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